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2013年6月21日金曜日

NHKスペシャル「世界遺産 富士山 水めぐる神秘」の調査に参加しました

前回のNHKの番組「ダーウィンが来た」の西湖のクニマス調査に引き続き、今回もまたNHKの番組による調査に参加しました。

今回は西湖と同じ富士五湖の一つである本栖湖でのサイドスキャンソナーを使った調査依頼です。
本栖湖にも過去に田沢湖のクニマスを放流した記録があるので、「本栖湖にもクニマスが生存していた!」みたいな番組内容かと思いましたがどうも違うようでした。
話を聞くと、先日富士山が世界文化遺産に登録されましたが、その富士山の地下水がどこをどう流れてどこに湧きだしているのか、その水脈を調べるための調査らしいのです。
はて、地下水脈の調査でサイドスキャンソナーとは、これ如何に?????

よく話を聞くと、調査依頼の趣旨は以下のようでした。

富士山に降った雨と言うのは、そのほとんどが地中に浸み込んでいき、伏流水として富士山の麓で湧きだすのだそうです。
そう言われてみれば、富士山を流れる川ってありませんでしたね。
富士山の5合目あたりまで行った人はわかると思いますが、基本的に富士山の表面は他の火山と同じく、ごつごつしていっぱい穴のあいた軽石というか、火山岩に覆われているので、確かにこれじゃあ水たまりもできそうにないってな感じの地面です。
なので、富士山にしみ込んだ雨は、観光地として有名な白糸の滝や忍野八海、および、柿田川の源流として、かなり下った場所で湧き出しているのだそうです。


ただ、地表に湧き出している水は富士山に降った雨の一部でしかなく、それ以外の地下水はいったいどこに流れて行くのか、これまでよくわかっていなかったんだそうです。
そこで推察されたのが、他の地下水は富士五湖の湖の湖底や、富士山に近い駿河湾の海底から湧き出しているのであろうとの仮説です。

そこで、番組の目玉として、その富士山の地下水が湖底、もしくは、海底から湧き出している様子をカメラに収めたいことでした。
それには、海底の様子を広範囲に探ることのできるサイドスキャンソナーを使って、先ずはそれらしい場所を選定し、有望な箇所にROV(自走式水中カメラ)を潜らせて撮影する予定とのことです。

しかし、湧きでている地下水が、熱水鉱床みたく、音波の反射強度が強い気泡と一緒に噴き出しているのならともかく、いくらサイドスキャンソナーと言っても、海底もしくは湖底から水が湧き出している様まではわかりません。


と思ったのですが、さすがにそこまでは期待はされていませんでした。
要は、本栖湖では、湖底が溶岩状となっているエリアで、地下水の出口となっていそうな亀裂状の箇所がわかればいいとのことでした。
駿河湾の場合ですと、海底にある地震の断層帯から水が湧き出している可能性が高いとのことでしたので、急に深くなっている傾斜のある海域で、階段状のような地形があれば、そこが有望な場所になるであろうとのことでした。


そして行って来ました本栖湖および、駿河湾は田子の浦に。
富士五湖のうち本栖湖が選ばれたのは恐らくこの湖が一番水深が深く、貯水量が大きい湖だからでしょう。
また、駿河湾でも田子の浦あたりは、富士山の溶岩が駿河湾にまで達しているエリアなんだそうです。

果たして富士山から流れ出す大量の地下水が湧き出ているような穴のような場所は見つかるのでしょうか?


結論からいいますと、本栖湖の場合は「微妙」、駿河湾の場合は「有望」でした。
本栖湖では、湖底が遠い昔に溶岩流が流れ込んだ場所を中心に調査を進めて行きました。
画像を見ますと、溶岩流が冷えて固まった表面はゴツゴツとかなり起伏があったので、その中から亀裂らしきものを見極めるのは難しい作業でした。
それでも、なんとかそれらしい場所を選定し、調査結果を提出させていただきました。

次に駿河湾ですが、探す相手がスケールの大きい断層なので、溶岩の亀裂と違って、リアルタイムでモニターに映し出される画像を見れば、はっきりそれらしい場所がわかります。

その画像についてはここではお見せできませんので、是非NHKスペシャルでご覧になって下さい。
確約はできませんが、たぶん出ます・・・。

駿河湾の調査では、釣り船をチャーターしたのですが、船頭さんもその辺りの地形に詳しく、、確かに海底が大きいギザギザ状の岩礁帯があるらしく、その辺りはいい釣りのポイントにもなっているのたそうです。

今回の調査に立ち会って頂いた、産業総合研究所の先生の話では、富士山の地下水は栄養塩類やミネラルを多く含んでいるので、それが海洋生物の栄養源となっているのではないかとのことです。


確かに、この一帯はシラスや桜エビなどのよい漁場となっています。
ミネラル分を多く含んだ富士山の水が大量に湧き出していれば、それを養分として植物プランクトンが発生します。
その結果、植物プランクトンを食べる動物プランクトンが増え、動物プランクトンを食べる桜エビやシラスなどの小魚が集まり、それを追って大型魚がやってくるわけです。


話はそれますが、田子の浦港で漁協さんがやっている食堂で食べた生のシラス丼は激ウマでした。
ここにも富士山の地下水の恩恵があるのですね。
右の写真は、一日限定うん杯の赤富士丼です。
港を見ながら食べるのが何ともいい感じです。





そう言えば、確かにその断層があった上の海面には大規模なナブラが立っていました。
ナブラはたいがい早いスピードで移動しつつ短時間で消滅してしまうことが多いのですが、そこではたいして動きもせずに、長い間ナブラが立っていました。
船頭さんの話では、イワシの群れに付いた、サバのナブラだろうとのことで、この辺りは特にナブラが立ちやすいのだそうです。

なるほどなるほど、ということは、海底湧水のある場所さえわかれば・・・・・。
そうです!もう何をかいわんや推して知るべしです。
その場所は爆釣間違いなしの、超優良ポイントとなるはずです。

日本は言わずと知れた水資源の豊富な国です。
富士山に限らず、日本のどこかに降った雨は河川のみならず地下水となって、今日もあちらこちらの海底に湧き出ているはずです。
そして、その湧きだす場所が海底断層の裂け目なのです。
断層は地震の巣ですから、はっきり言って迷惑な存在以外の何物でもありませんが、日本全国に存在する、沿岸近くの海底断層の場所を知っていれば、これはもうどこに釣りに行こうが、ボート釣りのムテキングになれますね。

そう言えば、調査の時に駿河湾海底の断層帯マップをちらっと見せて頂きました。
とりあえずあの地図さえあれば、駿河湾でのポイントを全ておさえることができます。
そんなわけで自宅に帰ってあの地図がないか、ネットで検索すること小一時間。
その結果はと言うと・・・・。

ぜんぜん見つからね~っ!

私の検索スキルが低いのでしょうか、それらしい地図が全く見つかりません。
うーん残念。ボート釣りキングへの道がすっかり遠のいてしまいました。
世の中そう甘くはないですね。
もし、どなたかマップがある場所を知ってる人がいれば教えて下さい。
今度放映のNHKスペシャルでも、運が良ければちらっと出てくるかもしれません。

またまた話はそれてしまいましたが、来週放映予定のNHKスペシャルが今からとっても楽しみです。
果たして富士山の地下水が海底の断層帯から湧き出している映像は撮れたのかでしょうか?
その結果は我々にも知らされていないので、今からワクワクドキドキです。

そんなわけで、6月30日(日)午後9時から放送のNHKスペシャル「世界遺産 富士山 水めぐる神秘」 をみなさんお楽しみに!


NHKスペシャル

富士山 ~水めぐる神秘~

2013年6月30日(日)
午後9時00分~9時58分


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2012年6月1日金曜日

NHK ダーウィンが来た!西湖のクニマス調査に参加しました


6月3日19:30より、あの絶滅したとされていたけれども、別の湖で再発見されたクニマスをテーマとした、NHKの番組「ダーウィンが来た」が放送されます。
実はこの西湖のクニマスの調査に、釣りナビくんを運営する我々マリーンネットワークスも参加しています。

あれはまだ冬真っ只中の今年の2月頃でした。NHKさんから「西湖でサイドスキャンソナーを使ったクニマスの調査をしたい」との依頼があったので、渋谷区神南方面へ打ち合わせに行くことになりました。

朝日新聞 さかなくんクニマス発見のニュース
クニマスと言えば、ご存知の方も多いと思いますが、何年も前に絶滅したとされる田沢湖の固有種ですが、あのさかなクンが富士五湖の一つの西湖で再発見したことで、一躍有名になりましたね。
その辺の詳しい話はすでに語りつくされていると思うので、ここで深くは触れませんが、とにかく日本の生物学会においては歴史的な大発見といえるものです。釣りキチ三平にも似たようなストーリーがありますし、釣りをする人にとってもなかなか興味深いことです。

ちなみにその時の「ダーウィンが来た」の担当の方の話では、「西湖で発見されたクニマスの水中映像を撮りたい、できたら産卵シーンまでカメラに収めたい」とのことでした。
えっ、産卵シーン? クニマスって最近西湖で発見されたばかりで、しかもその生態については田沢湖の昔の文献に少しばかり残っているぐらいなはず。まだ未知の部分が多い魚で、今の段階ではほとんどUMAとして取り扱ってもいいぐらいな魚なのに!と、少なからず驚いてしまいました。

クニマスが発見された富士五湖の一つの西湖には、釣りの対象魚で有名なヒメマスが生息しています。西湖のヒメマスも遠い昔に他の湖から移植されたもので、その後は西湖の環境にすっかりなじんだようで、今では人の手を借りずに西湖で立派に繁殖しています。

クニマスは限りなくヒメマスに近い魚で、たぶん同じベニザケの陸封型の魚なんでしょう。なので、遺伝的差異がほとんどなく、多少ヒメマスより体色が黒っぽく斑点がないというだけで、その差も個体的な差の範疇でくくられてしまうぐらいのものらしいです。
しかし、そんな近縁の魚なのに、なぜ、西湖でヒメマスと交雑せずに、これまでその血を守って生きながらえてきたのでしょうか。

水質が悪化する前、まだクニマスが生息していた頃の田沢湖にもヒメマスが移植されたらしいですが、田沢湖でもクニマスとは交雑がおこらず、湖の中で共存していたという事実があります。
その理由として考えられるのが、産卵期の違いらしいです。遺伝的に交雑の可能性があっても、お互い産卵する時期がずれていれば、交配した子孫も残りませんよね。
クニマスのオスも産卵期になったら、取り違えてヒメマスのメスを追っかけまわしたりしているのでしょうけれども、その気のまったくないヒメマス相手じゃ毎年見事にふられ続けているのでしょう。

そしてそのクニマスの産卵シーズンなのですが、それがこの調査依頼の話があった2月頃とのことなのだそうです。
ちなみにヒメマスの産卵期は他のサケ科の魚と同じく10、11月頃です。このわずか3,4カ月の違いがクニマスをクニマスたらしめている理由となるんだそうです。

富士五湖の一つの西湖
今回西湖で発見されたクニマスも、実はクニマスによく似たヒメマスじゃないのかとの話もあるそうですが、もし今回の調査で産卵シーンが撮影できれば、もう決定的にクニマスだということが証明されるわけです。なので、今回の調査は学術的にも、それはとっても意義のある調査となるわけです。

そこで、なんでクニマスの産卵調査にサイドスキャンソナー?ってことになりますが、実は調査依頼の話があった時にはNHKの取材班がすでに現地入りしており、ダイバーさんが調査に取り掛かっていたそうです。

そこでクニマスの産卵シーンを捉えるべく、ダイバーさんが湖底深くまで潜っていったらしいですが、湖水は透明度が悪く、しかも湖底は一面、浮遊性の泥、泥、泥、だったそうです。

てっきりクニマスも他の陸封されたサケ科の魚同様、湖に流れ込む川を遡上して産卵するのかと思っていましたが、田沢湖の文献によれば、クニマスが産卵する場所は湖の深い場所で、水が湧き出している砂利状の湖底なんだそうです。
この話にも少し驚きましたが、お世辞にも大きい湖とはいえず、泥が堆積した西湖でそんな条件を満たした産卵場が存在するのだろうか、そして、そんなクニマスがよくこれまであの小さい生態系の中で生き残ってこれたものだと感心しつつも、正直半信半疑でした。

ヤマメやイワナ、ニジマスなどのサケ科の魚の卵って、流水中でないと酸欠になって死んでしまうというイメージでしたが、クニマスはちょっと他のサケ科とは違う魚だったんですね。きっと田沢湖の環境の中で、固有のガラパゴス的な進化を遂げたのでしょう。まさしく、ダーウィン的な魚というわけです。
ちなみにヒメマスも湖で産卵するそうですが、もっと浅い場所でやはり水が湧き出ている場所だそうです。

まあそんなわけで、湖の深い場所は泥だらけ、ちょっと動くと泥が舞い上がって何も見えなくなってしまうほどなんだそうです。しかも地元の漁師さんがこの辺がクニマスの産卵場ではないかという場所には、捨てられた魚網とかが沈んでいて危険も伴うため、ダイバーさんによる調査はちょっと無理ということになったらしいです。
じゃあ、ダイバーさんが無理ならってことで、ROVと呼ばれる水中を自走するカメラも投入したのですが、湖底に近づくとやはり泥を舞い上げてしまい、底近くの映像を撮るのが難しいとのことでした。

そこで、我らがサイドスキャンソナーの投入とあいなったわけですが、前にも紹介したとおり、サイドスキャンソナーは魚群探知機を超高性能にしたようなもので、超音波を湖底にむけて発射し、反射して帰ってきた音波をひろって画像化する機械です。これならば水に潜らずとも、湖底の様子を広い範囲で探れるということでの依頼でした。

2月の西湖と富士山
そして勢い勇んで行ってまいりました、強風吹きすさぶ極寒の西湖へ!
久しぶりの西湖は富士山がとってもきれいでしたが、あいにくの気圧配置で湖の上は結構な荒れ模様。それでも海に比べれば大したことはないのですが、寒いのなんのって、ソナーを吊るすロープやら滑車やら、青っぱな混じりの鼻水までもが凍りつく始末。その前に調査で行ってきた冬の東北の海よりもよっぽど寒かったです。

そんなこんなで、なんとか2日間の調査を無事に終え、解析したデータとともに調査結果を後日提出いたしました。
ここでは著作権の都合で画像をお見せすることはできませんが、西湖の泥質の湖底に何箇所か砂礫と思われる反応のある場所がありました。

ソナーセッティング中
その後、取材班の方たちは、砂礫の反応のあった場所や魚群が写っていた場所を、船の上から垂直に吊り下げる水中カメラを使って、一つづつ確認していくとおっしゃってました。
結構気の遠くなる作業ですが、幸運を祈りつつ渋谷区神南方面を後にしました。


その後、サイドスキャンソナーについてよく知っておきたいとのお話があったので、再度渋谷区神南方面へ向かいました。その時は調査取材も無事終了したとのことで、水中映像を見せていただく機会に恵まれたのですが、そこにはなんと…、写ってるーっ!まさしくあのクニマスが、他のサケ科の魚同様、尾っぽで底をかいて産卵床を作っているお姿が!
しかもその後にダイバーさんがその場所に潜り、小石をどかしたらなんとそこにまさしくクニマスのイクラが!

凍りついた!
さすがに放精放卵シーンまでは撮れなかったようでしたが(たぶん)、しかし凄い、いやしかしNHKはやっぱり凄い!あのまだUMAレベルの西湖のクニマスを、水中映像だけでなく産卵行動までをもカメラに捉えてしまうとは!
恐るべしNHK取材班!これって技術だけじゃなく、強運もないと撮れないと思います。

そのようなわけで、NHK取材班さんたちの目標達成能力に感服しつつ、渋谷区神南方面を後にしました。
ちなみに、サイドスキャンソナーによる調査風景は、ちらっと写ってるはずです。ほんのちらっと。
クニマスの映像が思ったよりも撮れてしまったので、あまり出番が回ってこなかったそうで…。

いや、そんなことはいいんです。今回クニマスを撮るのにサイドスキャンソナーが少しでもお役に立っていれば、それで十分なんですってば。

そういったわけで、皆さん放映を楽しみにしててください。6月3日夜7時半からです。鉄腕ダッシュ見てる人も、この時間は「ダーウィンが来た」にチャンネルを切り替えることを忘れずに!


生き物新伝説 ダーウィンが来た!








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2011年12月22日木曜日

水中考古学的沈没船調査 ~完結編

今回は前回に引き続き、山形県飛島沖における沈船調査の完結編をお送りしたいと思います。
これまでお待たせして、申し訳ありません。
皆様にお見せすることができる水中の画像を入手しましたので、ようやく発表へとこぎつけることができました。

ではさっそく参りましょう。
本邦初公開!これが山形県飛島沖での水中考古学的沈没船調査の水中画像です。
とくとご覧あれ!


リブリーザーダイビングの機材を装備したダイバーさんが、ポイントに投入したアンカーロープをたどって水中を降下して行きます。


ん?なにやら海底に大きな物体らしきものが横たわっているのがぼやーっと見えます。


海底に着底しました。


ちょっと見にくいですが、ダイブコンピューターが表示している水深は64mです。さすがにスキューバダイビングではこの水深は危険ですね。


謎の巨大物体に向かって移動して行きます。


こっ、これは !? もしや!


やはり、船だー!サイドスキャンソナーの画像そのまんまに、沈没船が海底に鎮座しております。


これがあの勝海舟や坂本龍馬を乗せた第二長崎丸なのか !?
水中スクーターを使って船の周りを調べていきます。


甲板に大きく開いた穴から船倉の中に入ってみましょう。果たしてお宝は?


船の内部はお魚の棲家となっております。メバルやソイ、アイナメなんかが多く見られました。
しかし、中部はことのほかガラーンとしてますね。


もう一回外へ出て他の部分を調べましょう。
すると・・・・、ん!なんか丸い物体が舷側に。甲板上にもなんか見慣れたまーるいモノが。

 

えっ?はっ?たっ、タイヤ・・・・・?


おっと、そろそろ時間切れです。浮上の準備に取り掛かります。


段階的に減圧を繰り返して水面に浮上します。
減圧は2時間にわたります!大変ですね。


 この後、水面に浮上したダイバーさんを回収し、潜水調査が無事終了しました。

そのようなわけで、あの船は歴史的遺物として価値があるものなのか気になるところですが、あのタイヤが全てを物語っています。第二長崎丸は江戸時代に活躍した蒸気船です。その時代にあんな現代チックな車のタイヤが存在していたのでしょうか。

船が岸壁に停泊したり、他の船に横付けする際に、船体が傷つかないよう防舷材として車の古タイヤは今の時代よく使われます。港に行くと、タグボートがタイヤをズラーッと船の横に括り付けているのをよく目にしますね。

このことから、あの船は戦後に沈んだ船だと言うことがわかります。船の中にはエンジンも何もありませんでした。船の中身を全て取っ払った後に海中に投棄目的で沈められた船だったのではないかと思われます。 ちなみに、もう一つのポイントで発見した船も、比較的新しいものでした。

んーっ、残念!やはりそう簡単に世紀の大発見と言うわけにはいきませんね。
気を取り直して、また次の機会に期待したいと思います。
いつの日か、是非皆様に、このブログで発見のご報告をしたいと思います。

ではまた、その日まで。


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2011年11月25日金曜日

水中考古学的沈船調査 ~続き

さて、今回は水中考古学的沈船調査の続編をお送りいたします。

前回では、山形県飛島沖での歴史的遺物である沈没船の調査にサイドスキャンソナーを投入し、船の残骸と思われる姿を捉えたところまでお話いたしました。
今回はダイバーさんに実際に海に潜ってもらい、沈没船の潜水調査に移ります。
サイドスキャンソナーで捉えた画像が本当に古代の沈没船なのか、人の目で確認する作業です。あわよくば、水中考古学における物証として、沈船と一緒に沈んだ歴史的に価値のある物を引き上げてくれれば今回の調査は大成功です。

しかし、ここで一つ大きな壁があります。というのも、この沈船らしき物体の画像を捉えた場所は水深が60m以上あり、普通のダイビングでは安全に調査ができない水深となります。普通のダイビングとはスキューバダイビングのことを指すのですが、スキューバダイビングで作業ができるのは、せいぜい水深50mぐらいまでです。

そこで今回の調査では、リブリーザーダイビングと言う潜水方法を用いることになりました。
このリブリーザーというのは、呼吸排気から二酸化炭素を取り除き、酸素を補って再利用する循環式呼吸装置のことで、減圧が必要な大深度潜水を行うのに適した潜水方法らしいです。

これはもともと、水中での特殊任務を遂行するために軍用として開発されたものらしいです。
この潜水方式では、吐いた息が泡になって水中に出ないので、敵に発見されにくい特性を持ちます。実際にアメリカ軍のNAVY SEALSあたりで使用しているらしく 、ダイバーさんも元自衛隊の方でした。

しかしいかにハイテクな機材を使ったとしても、今回潜る水深での作業では、上がってくる際に水中での減圧時間が3時間以上必要らしく、なかなか過酷な作業となりそうです。

それでも、やはり目指すはお宝発見!いやいや水中考古学的見地からの検証のため、ダイバーさんにはがんばってもらうしかないです。
しかしこのリブリーザーダイビングに必要となる機材はハンパない量です。二人のダイバーさんが使用する分だけでも軽トラ一杯分あります。スキューバダイビングの機材なんてたかが知れているのに、水深が少し深くなるところに潜るとなると、これだけの重装備が必要になってしまうんですね。

しかも、機材の準備にもかなりの時間が必要なようです。ダイバーさんたちが調査前日から準備を開始していたのですが、結構夜遅くまでかかっていたようでした。大深度潜水はやはり危険が付きまとうもの。準備は念には念を入れて行う必要があるのでしょう。

さて調査当日、海のコンディションも悪くなく、さっそく潜水調査の開始です。
果たしてお宝発見になるのか!
詳しい模様は動画にて!



この約3時間後に、浮上を合図するフロートが水面に浮かび上がり、ダイバーさん達の回収に向かいました。
そして、肝心の結果の方はと言うと・・・・。
すみません、肝心の水中の画像もしくは映像がまだ手元にないため、今回はまだアップできません。
手に入り次第、また公開したいと思います。それまでまた少々お待ちください。

いつまで引っぱんだー。ヾ(*`Д´*)ノ"彡


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2011年11月17日木曜日

水中考古学的沈船調査

先日山形県飛島付近の海域でサイドスキャンソナーを使った沈船の調査に参加してきました。
今回の調査は、海底に眠る古代の遺物を発見するための水中考古学調査です。

聞く話によると、この山形県沖に浮かぶ飛島という島の付近の海域は「北前船(きたまえぶね)」と呼ばれた、江戸時代から明治時代にかけて、大阪と北陸や北海道の間を結ぶ、昔の交易船の航路になっていたそうです。

また、飛島には岩山で囲まれた天然の良港があり、海がしけた時などは北前船の避難港として使われていたようです。
しかし、それと同時にまわりには暗礁も多く、操船を誤って座礁、沈没の憂き目に会った船も多くあり、実際この付近の海域からは昔の壷などが底引き網漁船の網に掛かることがあったとのことです。

一方、北前船とは別に、江戸幕府が所有していた第二長崎丸という船も江戸時代末期にこの辺で座礁して沈没したらしいです。
この船は昔イギリスから幕府が購入した蒸気機関で走る鉄製の輸送船で、勝海舟や坂本龍馬を乗せたこともある、歴史的価値が高い船です。

今回からはこの海底に眠る「北前船」か「第二長崎丸」を発見すべく、サイドスキャンソナーを車に積んではるばる山形県まで行った調査の顛末についてご報告したいと思います。

実は今回の調査は2回目となり、1回目の事前調査では、海底のそれらしい影をいくつか捉えておりました。そして、画像解析の結果、船の残骸である可能性が高まり、今回の再調査となりました。

すでに場所は特定しているので、今回はより画像が鮮明に映る方法を使ってのピンポイントでの調査です。
もちろん今回もまた画像を撮るだけではありません。実際その場所にダイバーさんに潜ってもらって、船の残骸を確認し、何か証拠となる歴史的遺物を引き上げてもらおうと言う寸法です。



飛島までは酒田港からチャーターしたボートで向かいました。到着後、早速島の古老に挨拶し、第二長崎丸に関する聞き取り調査を行いました。インタビューしたのは2名で、お二方とも90歳に近いのにまだまだ元気な方達でした。
お二人の話では第二長崎丸が座礁した時、島の人総出で船の中の荷物を陸に引き上げたそうです。その後、座礁していた船は暫く元の位置にあったのですが、ある日嵐が来た時、翌日の朝には第二長崎丸の姿はもうそこにはなかったそうです。きっと強風で沖に流されて海底に沈んだのでしょう。

お二方へのインタビューは別々に行ったのですが、実はお二人が言う座礁した場所が少し食い違っておりました。また、最初の方が言うには、座礁して流された後はどこに沈んだのかは島民にもわからないとのことでしたが、もう一方の方は、流されて沈んだのは今の港があるすぐ近くで、海の上から見える場所であった、そこではアワビが取れるので、子供の頃は良くそこで潜ったとの話でした。
で、その船は今どうなっているのかと聞くと、新しく港を作る時に邪魔だから爆破されたとの驚愕の証言が出てきました。

第二長崎丸が座礁した時はお二方ともまだ生まれてはいなかったし、少々話が食い違うのもさすがにしょうがないと思うのですが、爆破されたと聞いた時は皆少なからずショックを受けました。

しかし、本当にその爆破された船が第二長崎丸だったのか、実は他の船と取り違えているのではないか、それが本当だったとしてもそんな歴史的遺物を爆破するものなのか、いや、昭和の高度成長期ならそれぐらいのことはあっさりやってしまうだろうとか、後で調査メンバーがあれこれ議論するも、やはり真相は闇の中、結局調査してみなければわからない、との結論に落ち着きました。

その後、我々が旅館で晩御飯を食べていると、「当時の北前船はドイツのマイセンの食器なんかも運んでたらしい」とのありがたい情報が旅館のおかみさんからもたらされました。
当時のマイセンと言えば、今では古マイセンと言ってその価値はかなりのものになるはず!こっ、これは一攫千金も夢じゃない!考古学も大事だけど、気分は一気にトレジャーハンター、パイレーツ・オブ・ヤマガタンの気分です。


そして調査当日、勢い勇んで飛島沖へ突撃です!
次の動画が調査の様子です。


そして画像解析の結果、現れた画像がこれです。


キタ━(ノ゚∀゚)ノ━!!
これはたぶん船でしょう。いーや船です、形からして昔に沈んだ船の残骸に違いないはず。
この辺は砂地で回りに岩や根などは見当たりません。砂地の中に何かしら長細い船の舳先とも取れる人工的な構造物がぽつーんと鎮座しております。漁礁とも形が違いますし、戦後この辺に沈んだとされる船の記録もないため一気に期待が膨らみます。
そしてその夜、調査メンバーが協議した結果、やはりダイバーさんに確認してもらうのはこの場所と決め、さらにそれっぽいもう一箇所を追加して、翌日からの潜水調査に望みを賭けることになりました。

そのようなわけで潜水調査の様子はまた次回!果たしてお宝発見になるか!

TO BE CONTINUED



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