2011年6月21日火曜日

震災復興支援

久しぶりの更新となってしまいました。実はここ最近、今回の震災の被災地である宮城と岩手の方に調査へ行っておりました。今回は岩手での調査についてご報告したいと思います。

今回の震災では水産業が大打撃を受けました。水産業と言うものは魚を獲るところから始まります。その点で、魚を釣るという行為は水産業の原点にあると言ってもよいでしょう。「釣りナビくん」は主にレジャーとしての魚釣りを楽しむために開発されましたが、震災の復興に関して、我々も何か役に立つことはないかと思っておりました。

そんな折、ニュースを見ていると、被害にあった漁業者の方が「早く漁業を始めたい、そのためにはまず海の中の瓦礫をどうにかしたい」と訴えています。ならば、いつも調査で使っているサイドスキャンソナーが瓦礫の撤去に役に立つのではないかと考えました。

サイドスキャンソナーならば、水が濁っていても水中の物体を映すことができますし、広い範囲で瓦礫の有無を確認するにはうってつけです。

資料:「岩手県のさけ・ますに関する資料」
早速、関係者に打診したところ、岩手県のとある漁協さんから調査をお願いしたいとの依頼がありました。話を聞くと、「今回の津波で、サケの定置網が一組だけ被害を免れた。サケ漁は秋から始まるので、なんとかそれまでに定置網を海に設置したい。しかし海の中に瓦礫があると定置網を張ることができない。また、定置網を固定するため海に入れてあるアンカーがずれているかいないかを確認したい」とのことでした。

秋ののサケ漁はこの岩手県の漁業では最も重要な位置を占める漁です。一年に一回のサケ漁ができないと、今年の漁業者の人々の収入が大幅に減り、今後の復興に影を落とすことになってしまいます。

先ずは全ての手配を整え、機材一式を車に詰め込み、一路岩手へと向かいました。


実際現地に行ってみると、津波の力は想像を絶したものでした。漁港にある堤防は破壊しつくされ、巨大なケーソンのブロックが港の中に散乱しています。鉄壁の守りを誇っていたスーパー堤防も押し流され、町はほぼ壊滅状態でした。




調査は無事に終了し、心配されていた定置網の設置エリアに瓦礫はほとんどないということがわかりました。サケの定置網は潮通しの良い沖合いに張るため、そこまでは瓦礫は到達してないか、もしくはもっと沖のほうまで流されていった模様です。アンカーの位置は現在解析中です。

下の画像は定置網周辺の調査を終えた後、帰港する際にサイドスキャンソナーで撮影した海底画像をGIS上のマップに貼り付けたものです。
いろいろな瓦礫が海底の中に散乱しているのがわかります。黒いまだら模様は堆積した泥と思われます。



中央付近のの赤枠を拡大した画像が下の画像です。津波でとばされた三角錐型のテトラポッドが海底に多数散乱しており、船の航行を妨げる障害物となっています。








上のものと同じタイプのテトラポッド



左上の赤枠部分を拡大した画像。原形を失った車や建物等の破片と思われます。



下の写真のように、港内にはケーソンのブロックがたくさん散らばっていますが、次の映像はこの付近を船の上から撮影したものです。映像の冒頭部分に写真右下の倒れた赤灯台が映っています。





今回はボランティアでの調査でしたので、被災地にしばらく張り付いて調査を続けることはできませんでした。しかし、サイドスキャンソナーが海中の瓦礫の種類や位置を特定するのに有効であることを確認することはできました。今後は行政機関に働きかけつつ、被災地域の復興のため、微力ながらも貢献していきたいと考えております。


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