対象魚にもよりますが、ボート釣りでのポイントと言えば、やはり根回りが有力候補でしょう。根の周辺には多種多様な根付きの魚が生息し、カサゴやハタ、メジナ、イシダイなど、釣りの対象魚には事欠きません。
また、根回りは回遊魚にとってもよい餌場となるので、ブリやヒラマサ、カンパチなど、青物の魚が回遊の途中で居着くことが多いです。
砂地に住むキスやコチ、ヒラメ、カレイなど魚も、周りに何もない砂地の真ん中にいつもいるわけでもなく、やはり砂地の中にポコンと出ている根の周辺の砂地に寄っていることが多いです。
根というのは、海の中の岩礁や岩礁地帯を指します。岩には海草や貝類、イソギンチャクなどの生物が多く付着し、エビやカニ、ゴカイの仲間なども多く生息しています。それらの生物が魚の良いエサとなる一方で、岩礁地帯は魚の隠れ場も提供するため、たくさんの魚が集まってくるわけです。
深い海でも周りより浅くなっている場所は、そこだけ太陽光線が届きやすく、藻類にとって繁殖しやすい場所です。また、湧昇流と言って、潮の流れが瀬にぶつかると、海底部分の栄養分を多く含んだ海水が海面近くまで湧き昇ってきます(まさしく湧昇流)。このような海域では植物プランクトンが多く発生します。すると植物プランクトンを食べる動物プランクトンが増え、動物プランクトンを食べる小魚が集まり、小魚を食べる大きな魚が・・・という流れになり、あとは言わずもがなですね。
漁礁というものも、回りに何もなく魚もあまり見られないのっぺりした砂地に、人工的な根を築くことによって、海域の生産性を高めて魚を集めようとするものです。
砂地に設置された漁礁群 |
根や瀬以外にも、海の中の岩礁地帯や浅くなっているところを示す呼び方が、地方によっていろいろあります。代表的なのが「曽根」、「ぐり」、「ハエ」、「出し」、「洲」などで、他にもまだまだあるようです。
これらの名称が混在する海域もあるので、呼び方によって微妙にニュアンスの違いがあるかも知れません。機会があったら漁師さんに聞いておきたいと思います。
ちなみに英語では、「shoal」、「cap」、「reef」、「rise」、「hill 」、「knoll」、「bank」などと呼ぶようです。大西洋にあるグランドバンクスなんてタラの有名な漁場ですね。
「洲」については、干潮時に浅い部分が水面から上に露出する海域のことを主に指すようです。東京湾には「磐洲」という干潟があって、アサリの良い漁場になっているそうです。
静岡県の沖合いには、「銭州」や「金洲」など、巨大な青物がぶんぶん泳いでいる超有名なポイントがありますが、これらの場所では魚が多く獲れるため、銭や金が集まる場所という意味で「~洲」と呼ばれるようになったとのことです。銭州は日本の三大漁場の一つとも言われているそうです。
この「日本三大漁場」ですが、ネットで検索してみると、「ここ〇〇沖は日本三大漁場の一つと言われ云々・・」との表記が多く見られます。ところが、この「〇〇沖」の〇〇は、とてもじゃないですけど3つどころの話ではなく、一体いくつあんねん!と突っ込みたくなるぐらい、いろいろな地名が出てきます。
銭州をはじめ、ちょっと見ただけでも、オホーツク、金華山、三陸、外房、東京湾、三河、熊野灘、有明海、壱岐、玄界灘、などなど、全部見たら日本の沿岸をすべてカバーしてしまいそうな勢いです(笑)。この際はっきりと漁獲量で統計とって、水産庁あたりのお墨付きで日本三大漁場というものを決めてもらいたいものですね。
ちょっと脱線しましたが、本題に戻りたいと思います。
一部の海域に限られますが、「釣りナビくん」では、釣りのポイントとなる根や瀬の場所を「釣りマップ」上で確認することができます。
スケールバーで下から段々と拡大していくと、上から5番目から根や瀬の表示が現れ始めます。
現在のところ、根と瀬の場所および名称が表示される海域は、千葉県の房総半島、神奈川県の三浦半島、静岡県の伊豆半島周辺、愛知県の三河湾、三重県の志摩半島、熊野灘周辺、和歌山県の紀伊水道、兵庫県の淡路島周辺、福井県、京都府の若狭湾周辺です。今後は可能な限り、根や瀬のポイントを釣りマップ上に追加していく予定です。
無料の会員登録をしていただければ、誰でも「釣りマップ」を見ることができます。
釣りに行かずとも、根や瀬の名前を見ているだけでけっこう楽しめますよ。
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