2013年6月21日金曜日

NHKスペシャル「世界遺産 富士山 水めぐる神秘」の調査に参加しました

前回のNHKの番組「ダーウィンが来た」の西湖のクニマス調査に引き続き、今回もまたNHKの番組による調査に参加しました。

今回は西湖と同じ富士五湖の一つである本栖湖でのサイドスキャンソナーを使った調査依頼です。
本栖湖にも過去に田沢湖のクニマスを放流した記録があるので、「本栖湖にもクニマスが生存していた!」みたいな番組内容かと思いましたがどうも違うようでした。
話を聞くと、先日富士山が世界文化遺産に登録されましたが、その富士山の地下水がどこをどう流れてどこに湧きだしているのか、その水脈を調べるための調査らしいのです。
はて、地下水脈の調査でサイドスキャンソナーとは、これ如何に?????

よく話を聞くと、調査依頼の趣旨は以下のようでした。

富士山に降った雨と言うのは、そのほとんどが地中に浸み込んでいき、伏流水として富士山の麓で湧きだすのだそうです。
そう言われてみれば、富士山を流れる川ってありませんでしたね。
富士山の5合目あたりまで行った人はわかると思いますが、基本的に富士山の表面は他の火山と同じく、ごつごつしていっぱい穴のあいた軽石というか、火山岩に覆われているので、確かにこれじゃあ水たまりもできそうにないってな感じの地面です。
なので、富士山にしみ込んだ雨は、観光地として有名な白糸の滝や忍野八海、および、柿田川の源流として、かなり下った場所で湧き出しているのだそうです。


ただ、地表に湧き出している水は富士山に降った雨の一部でしかなく、それ以外の地下水はいったいどこに流れて行くのか、これまでよくわかっていなかったんだそうです。
そこで推察されたのが、他の地下水は富士五湖の湖の湖底や、富士山に近い駿河湾の海底から湧き出しているのであろうとの仮説です。

そこで、番組の目玉として、その富士山の地下水が湖底、もしくは、海底から湧き出している様子をカメラに収めたいことでした。
それには、海底の様子を広範囲に探ることのできるサイドスキャンソナーを使って、先ずはそれらしい場所を選定し、有望な箇所にROV(自走式水中カメラ)を潜らせて撮影する予定とのことです。

しかし、湧きでている地下水が、熱水鉱床みたく、音波の反射強度が強い気泡と一緒に噴き出しているのならともかく、いくらサイドスキャンソナーと言っても、海底もしくは湖底から水が湧き出している様まではわかりません。


と思ったのですが、さすがにそこまでは期待はされていませんでした。
要は、本栖湖では、湖底が溶岩状となっているエリアで、地下水の出口となっていそうな亀裂状の箇所がわかればいいとのことでした。
駿河湾の場合ですと、海底にある地震の断層帯から水が湧き出している可能性が高いとのことでしたので、急に深くなっている傾斜のある海域で、階段状のような地形があれば、そこが有望な場所になるであろうとのことでした。


そして行って来ました本栖湖および、駿河湾は田子の浦に。
富士五湖のうち本栖湖が選ばれたのは恐らくこの湖が一番水深が深く、貯水量が大きい湖だからでしょう。
また、駿河湾でも田子の浦あたりは、富士山の溶岩が駿河湾にまで達しているエリアなんだそうです。

果たして富士山から流れ出す大量の地下水が湧き出ているような穴のような場所は見つかるのでしょうか?


結論からいいますと、本栖湖の場合は「微妙」、駿河湾の場合は「有望」でした。
本栖湖では、湖底が遠い昔に溶岩流が流れ込んだ場所を中心に調査を進めて行きました。
画像を見ますと、溶岩流が冷えて固まった表面はゴツゴツとかなり起伏があったので、その中から亀裂らしきものを見極めるのは難しい作業でした。
それでも、なんとかそれらしい場所を選定し、調査結果を提出させていただきました。

次に駿河湾ですが、探す相手がスケールの大きい断層なので、溶岩の亀裂と違って、リアルタイムでモニターに映し出される画像を見れば、はっきりそれらしい場所がわかります。

その画像についてはここではお見せできませんので、是非NHKスペシャルでご覧になって下さい。
確約はできませんが、たぶん出ます・・・。

駿河湾の調査では、釣り船をチャーターしたのですが、船頭さんもその辺りの地形に詳しく、、確かに海底が大きいギザギザ状の岩礁帯があるらしく、その辺りはいい釣りのポイントにもなっているのたそうです。

今回の調査に立ち会って頂いた、産業総合研究所の先生の話では、富士山の地下水は栄養塩類やミネラルを多く含んでいるので、それが海洋生物の栄養源となっているのではないかとのことです。


確かに、この一帯はシラスや桜エビなどのよい漁場となっています。
ミネラル分を多く含んだ富士山の水が大量に湧き出していれば、それを養分として植物プランクトンが発生します。
その結果、植物プランクトンを食べる動物プランクトンが増え、動物プランクトンを食べる桜エビやシラスなどの小魚が集まり、それを追って大型魚がやってくるわけです。


話はそれますが、田子の浦港で漁協さんがやっている食堂で食べた生のシラス丼は激ウマでした。
ここにも富士山の地下水の恩恵があるのですね。
右の写真は、一日限定うん杯の赤富士丼です。
港を見ながら食べるのが何ともいい感じです。





そう言えば、確かにその断層があった上の海面には大規模なナブラが立っていました。
ナブラはたいがい早いスピードで移動しつつ短時間で消滅してしまうことが多いのですが、そこではたいして動きもせずに、長い間ナブラが立っていました。
船頭さんの話では、イワシの群れに付いた、サバのナブラだろうとのことで、この辺りは特にナブラが立ちやすいのだそうです。

なるほどなるほど、ということは、海底湧水のある場所さえわかれば・・・・・。
そうです!もう何をかいわんや推して知るべしです。
その場所は爆釣間違いなしの、超優良ポイントとなるはずです。

日本は言わずと知れた水資源の豊富な国です。
富士山に限らず、日本のどこかに降った雨は河川のみならず地下水となって、今日もあちらこちらの海底に湧き出ているはずです。
そして、その湧きだす場所が海底断層の裂け目なのです。
断層は地震の巣ですから、はっきり言って迷惑な存在以外の何物でもありませんが、日本全国に存在する、沿岸近くの海底断層の場所を知っていれば、これはもうどこに釣りに行こうが、ボート釣りのムテキングになれますね。

そう言えば、調査の時に駿河湾海底の断層帯マップをちらっと見せて頂きました。
とりあえずあの地図さえあれば、駿河湾でのポイントを全ておさえることができます。
そんなわけで自宅に帰ってあの地図がないか、ネットで検索すること小一時間。
その結果はと言うと・・・・。

ぜんぜん見つからね~っ!

私の検索スキルが低いのでしょうか、それらしい地図が全く見つかりません。
うーん残念。ボート釣りキングへの道がすっかり遠のいてしまいました。
世の中そう甘くはないですね。
もし、どなたかマップがある場所を知ってる人がいれば教えて下さい。
今度放映のNHKスペシャルでも、運が良ければちらっと出てくるかもしれません。

またまた話はそれてしまいましたが、来週放映予定のNHKスペシャルが今からとっても楽しみです。
果たして富士山の地下水が海底の断層帯から湧き出している映像は撮れたのかでしょうか?
その結果は我々にも知らされていないので、今からワクワクドキドキです。

そんなわけで、6月30日(日)午後9時から放送のNHKスペシャル「世界遺産 富士山 水めぐる神秘」 をみなさんお楽しみに!


NHKスペシャル

富士山 ~水めぐる神秘~

2013年6月30日(日)
午後9時00分~9時58分


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